CLAS - 国内向けGNSS補正測位

センチメートル級測位補正サービス(CLAS)

  • PPP-RTK 測位サービスはSSR補正サービスとも呼ばれます

  • 国内のみ
  • GNSSモジュール、評価キット、OEMボード、筐体型製品がございます
  • 遠隔地でもCm級レベルのRTK測位

CLAS - みちびき(QZSS)の補正サービス

CLASはCentimeter-Level Augmentation Serviceの略です。これは、RTKレベルの測位を可能にする補正データの信号です。このサービスは、日本の陸地全体とその近くの沿岸地域を対象としています(図1を参照)。

このサービスは、QZSS(みちびき)衛星から直接配信されるという点で独特です。つまり、ローバーは基地局やNTRIPサービスへの地上通信を必要としません。これにより、セルラー通信非対応の遠隔地でもRTKレベルの測位が可能になります。

Diagram

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図1:CLASサービスの対応エリア

 

主要な技術は、空間状態表現(Space State Representation)の略であるSSRです。これは、衛星の軌道と時計の誤差、および電離層と対流圏によって引き起こされる遅延で構成される詳細なモデルです。日本全土での高速収束を可能にするために、電離層/対流圏モデルは、日本中に均等に分散された約300のCORSステーション(連続観測点)からのデータに基づいています。

このサービスは、L6バンド(1278.75 MHz)のDチャネル上のすべてのQZSS衛星で配信されます。限られた帯域幅(2000 bps)に対処するために、さまざまな圧縮技術が使用されます。 RTCMと比較して約1/1000の圧縮率が達成されます。結果のフォーマットは、Compact SSR(またはcSSR)と呼ばれます。

サービスのパフォーマンス基準を図2に示します。さらに、精度測位の初期収束までの時間は1分(95%)よりも速いと指定されています。

図2: CLASのパフォーマンス基準

 

更なる詳細情報は以下をご参照ください QZSS (Quasi-Zenith Satellite System) - Cabinet Office (Japan).

 

セプテントリオのCLAS対応

セプテントリオは以下の4つのCLAS対応製品がございます: mosaic-go CLAS (GNSS評価キット)、mosaic-CLAS (モジュール)、 AsteRx-m3 CLAS (OEMボード)、AsteRx SB3 CLAS (筐体型受信機製品)。 AsteRx-m3 CLASとAsteRx SB3 CLASはCLAS測位に加えて方位(ヘディング)を提供するデュアルアンテナ・受信機です。

画像

Septentrio-GNSS-receivers-with-CLAS-correction-services

 

図3: 左上はmosaic-go CLAS 評価キット、右上はmosaic-CLAS GNSS モジュール、左下は筐体型GNSS受信機のAsteRx SB3 CLAS、右下はOEMボードのAsteRx-m3 CLAS

 

受信機はデフォルト構成でCLASを使用しますが、いくつかの設定を変更することができます。 CLAS関連のメニューを図4に示します。

Graphical user interface

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図4: セプテントリオのウェブユーザーインターフェース(WUI)でのCLAS 設定

 

L6信号の選択により、L6信号を使用する衛星を選択できます。すべてのQZSS衛星は同じ情報を配信するため、自動設定を使用することをお勧めします。これにより、常に最も高度の高いQZSS衛星が選択されます。

L6Eは、PPPのようなサービスであるMADOCAの将来のサポート用です。

地殻変形補正はデフォルトでオフになっています。これは、受信機によって報告された座標がWGS84測地系(Datum)を使用していることを意味します。オンにすると、座標は日本の標準であるJGD2011測地系(Datum)で報告されます。両方のDatum間の変換は、パラメータファイルを使用して行われます。パラメータファイルは毎年更新する必要があります。

 

セプテントリオ受信機で得るCLASのパフォーマンス・データ

図5は、オープンスカイでの静止(定点)観測テストの24時間/1秒のデータのXYプロットを示しています。ほとんどの測位ポイントは、平均から+/-2cm以内にあります。これは、CLASで指定されているパフォーマンス基準(<6 cm、95%)の範囲内です。

図6は、千葉の田舎地方(右下)から都市部の横浜(左上)までの100kmのドライブでのCLASと全衛星RTKのFix率の比較を示しています。長い中断は海底トンネルによるものです。 CLASのFix率は86.5%ですが、RTKのFix率は93.2%です。この違いのほとんどは、CLASがGNSS測位しないエリアから出た後、Fix状態を再取得する為に必要な時間が長いことに起因している可能性があります。したがって、CLASは、ドローン、農業、海洋建設など、GNSS信号が頻繁に中断されないアプリケーションに非常に適しています。

 

Chart, scatter chart

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図5: mosaic-CLAS 24時間/1秒、CLAS静止(定点)測位データ(アンテナ:PolaNT-x MF、場所:横浜)

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図6: AsteRx-m3 CLASを使用したCLAS(下)と全衛星RTK(上)の比較

 

Graphical user interface, chart

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図7 : CLASの初期化時間

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